近年、働き方の価値観が大きく変わり、組織に属さず自分のペースで仕事をしたり、個人事業主や起業を目指したりする人が増え、新しいことに挑戦する流れが社会に広がっています。
しかし、いざ起業しようと思っても「何から始めたらいいの?」「誰に相談すればいいの?」と不安に感じるかもしれません。
そんなときに、構想の指針の参考にしたり自分の考えをまとめたりできるのが「起業セミナー」です。
起業セミナーでは、起業の基礎知識から具体的なノウハウまで、幅広い情報を効率的に学ぶことができます。さらに、セミナーだけでなく起業をさまざまな面からサポートしてくれる心強い機関や窓口もたくさん存在します。
本記事では、起業を考えている人やスタートアップの人にも分かりやすいように、起業セミナーの種類や選び方、無料で相談できる窓口、そして専門家や民間の支援サービスまで、幅広く解説します。
起業セミナーの種類と選び方
目的別に見るセミナーの種類は、会社設立や人脈形成、経営、マーケティングに特化したものや、特定の業界に特化したものがあります。
実際に起業に向けて動き出すには、さまざまな知識や準備が必要です。そこで役立つのが「起業セミナー」です。ここでは、どこでどのようなセミナーを受けられるのかなどについて詳しく見ていきます。
なぜ起業セミナーを受けるべきか
起業セミナーは、起業に必要な基礎知識から実践的なノウハウまで、幅広い情報を得ることができ、ビジネスなどについて効率的に学べる場です。
経験豊富な講師から直接話を聞けるだけでなく、同じ志を持つ仲間との出会いや情報交換の機会も得られます。このような経験の中で、起業のイメージを具体化するための大きな助けとなるでしょう。
目的別に見るセミナーの種類
では、具体的にどんなセミナーがあるのか見てみましょう。
会社設立に特化したセミナー
会社設立に関する基礎知識を習得できるセミナーです。
株式会社や合同会社など、法人の種類ごとの設立手続き、必要書類の準備、登記の流れなど、具体的な流れなどを学ぶことができます。初めて会社を設立する人にとって、複雑な手続きを理解し、スムーズに進めるための貴重な情報源となります。専門家による解説や質疑応答の機会も設けられていることが多く、疑問点を解消しながら知識を深めることが可能です。
営業や人脈づくりに特化したセミナー
事業を成長させる上でポイントとなる営業戦略や、効果的に人脈をつくることに焦点を当てたセミナーです。
顧客開拓の手法やプレゼンテーションのスキル、交渉術といった営業の基本から異業種交流会などを通じた人脈の広げ方、ビジネスパートナーとの連携方法まで、実践的なノウハウを習得できます。起業初期における顧客獲得や事業拡大に課題がある人にとって、有意義なセミナーといえます。
経営やマーケティングに特化したセミナー
事業運営に必要な経営戦略や市場で優位に立つためのマーケティング戦略を学ぶセミナーです。
財務管理、人材育成、リーダーシップといった経営の基本から市場調査、商品開発、プロモーション、ブランディングといったマーケティングなど幅広い知識を習得できます。実践的な内容も含まれるため、事業に不安がある、さらに成功や拡大を目指す人にとっては不可欠といっても過言ではありません。
業界別のセミナー
特定の業界に特化したセミナーでは、その業界特有のビジネスモデル、市場動向、成功事例など、より専門的な知識を深めることができます。
同じ業界で起業を目指す参加者との交流を通じて、貴重な情報を共有したり、協力関係を築いたりする機会も得られます。特定の分野ですでに事業経験がある人や明確なターゲット業界が決まっている人にとって、より実践的な学びと人脈・ネットワークづくりに役立つでしょう。
セミナーを選ぶ際のポイント
セミナーを選ぶときの判断基準や、どんなポイントを重視すればいいか解説します。
自分に合ったセミナーか?
セミナー選びでもっとも重要なのは、その内容が自身の現状や目的に合っているのかどうかです。
起業のアイデア段階なのか、具体的な事業計画を立てている段階なのか、または事業を始めている段階なのかによって、必要となる知識や情報は異なります。
セミナーのテーマ、対象者や具体的なカリキュラムなどを詳細に確認し、今の自分にとって本当に役立つ内容であるかを見極めることが重要です。
表面的に魅力的なタイトルや登壇者であるだけでなく、具体的な学習目標や得られるスキルを理解して、自身の課題解決や目標達成につながるセミナーを選びましょう。
サポートやフォローアップがあるか?
学びを深め実践につなげるためには、サポート体制やフォローアップの有無が重要になります。例えば、質疑応答の機会が設けられているか、受講者同士の交流の場があるか、教材やアーカイブ動画が提供されるかなどを確認しましょう。
またセミナーによっては、個別相談やSNSなどを通じてコミュニティへ参加することで、長期的なサポートをしてくれる場合もあります。このようなサポートやフォローは、セミナーで得た知識を定着させ、疑問や課題を解決する上で大きな助けとなります。
安心して受講できるセミナーか?
安心してセミナーを受講するためには、主催者や講師の信頼性やセミナーの透明性が重要です。
主催者の実績や評判、講師の経験や専門知識などを事前に確認しましょう。セミナーの内容や料金体系が明確に示されているか、キャンセルポリシーや返金制度が整っているかも確認しておくと安心です。
勧誘やしつこい物販といった怪しい動きがなかったかなど、過去の受講者のレビューや評判も参考になるでしょう。また、個人情報の取り扱いについても確認し、安心して情報を提供できるかを見極めることが大切です。
無料で参加できる起業セミナーと相談窓口
自治体や商工会議所、公益財団法人で紹介しているセミナーや相談窓口は、公的機関のため安心して受講や相談ができるでしょう。
地方自治体の起業支援セミナー
地方自治体では、地域経済の活性化や近年大きな課題となっている雇用創出を目的に、起業を志す人や創業間もない人を対象としたセミナーを無料で提供している場合があります。
これらのセミナーは、地域の特性やニーズに合わせて企画されており、事業計画の作成、資金調達、法務、税務など、起業に必要な基礎知識を習得できるのが特徴です。また、セミナーによっては、先輩起業家による講演会や交流会などもあり、実践的なアドバイスや人脈形成の機会となります。
なお、地方自治体の創業支援セミナーに参加すると、会社設立時の登録免許税の減免や融資の貸付利率の引き下げといった優遇を受けられる場合があります。ただし、修了規定が厳しいため注意が必要です。
各自治体のウェブサイトや広報誌などで情報が公開されているため、居住地や事業予定地の情報を定期的に確認してみましょう。
商工会議所、商工会の起業塾や相談会
地域の事業者を支援する商工会議所や商工会も、起業家向けの支援事業を積極的に展開しています。
起業塾と呼ばれるセミナー形式の講座では、起業に関する知識やノウハウを学ぶことができます。講師には、中小企業診断士や税理士などの専門家が登壇することが多く、より専門的かつ具体的な話を聞くことが可能です。
また、個別の相談窓口も設けられており、事業計画の相談や資金調達に関するアドバイスなど、それぞれの状況に応じたサポートを受けることができます。地域の商工会議所・商工会のWEBなどで開催情報や相談窓口などを確認できます。
公益財団法人の無料相談サービス
国や地方自治体が設立に関わっている公益財団法人の中にも、起業家向けの無料相談サービスを提供している機関があります。
特定の分野や産業の振興を目的としている場合が多く、専門的な知識やネットワークを生かしたサポートが期待できるでしょう。
例えば、技術系の起業を目指す人に対しては、研究開発に関するアドバイスや資金援助の情報提供などが行われることがあります。また、女性や若者など、特定の層の起業家を支援するためのプログラムを提供している法人もあります。各法人のWEBで支援内容や相談窓口について確認することができます。
起業サポートを受けられる公的機関
セミナーを受け、事業をより具体的にしたいと考えたときに相談できる公的機関をご紹介します。各所、WEBやSNSでの情報なども充実していますので、ぜひ確認してみてください。
中小企業基盤整備機構(中小機構)
国の機関として、事業計画や資金調達のセミナー、専門家相談や派遣、販路開拓支援など幅広くサポート。情報提供、人材育成などにも強い機関です。J-Net21で情報提供も行い、全国の拠点で地域に根差した支援を提供しています。
各都道府県・市区町村の産業振興センター
地域経済活性化を目指し、セミナーや相談をはじめ補助金情報など、地域特性に応じた支援を実施。地元で起業したい人や起業家にとって身近な相談窓口となります。スタートアップではそろえることができない機器や会議室を安価で貸し出すなど、手厚い支援を受けることができます。
日本政策金融公庫の創業支援
政府系金融機関として、創業融資制度を提供しています。担保や実績が少ない創業期でも利用しやすいのが特徴。具体的には、新規開業やスタートアップ支援資金、女性、若者/シニア起業家支援資金、再挑戦支援資金などがあります。さらに融資に加え、資金調達や事業計画の相談も可能です。
起業サポートを受けられる専門家
公的機関以外にも、個人的に専門家に相談する方法もあります。では、どんな専門家にどのような相談ができるのか、専門家別に解説します。
税理士
会社の税金や会計の専門家。設立時の相談から税務書類作成・提出、日々の会計処理や節税対策まで幅広くサポートします。顧問契約により起業後も継続的なアドバイスが可能です。費用は会社の形態や依頼内容で変動します。
行政書士
役所への手続き代行の専門家。スタートアップの際には心強い相談先となるでしょう。会社設立時の定款作成・認証、事業に必要な許認可申請などを依頼できます。複雑な書類作成や手続きを任せることで事業準備に専念できます。
司法書士
登記手続きの専門家。会社設立時の定款作成・認証、法務局への登記申請を代行します。オフィスに関する登記など、不動産登記が必要な場合にも相談できます。
社会保険労務士
社会保険や雇用に関する手続きの専門家。従業員を雇用する際、労働保険・社会保険の手続きや労務管理について相談できます。適切な労務管理体制の構築を支援します。
弁護士
法律の専門家として、契約書作成やその確認、知的財産権、訴訟など事業運営に関わる法的な問題をサポートします。法的リスクを回避し、安心して事業を進めるために重要な存在です。
セミナー参加や相談前に準備しておくこと
セミナーを受講し、内容を十分に身に付けるためには、事前の準備も重要です。
起業アイデアや計画の整理
セミナーや相談を有意義なものにするために、どのような事業を考えているのか、現時点でどのような計画があるのかを洗い出しておくことが重要です。
例えば、ターゲット顧客、提供する製品やサービス、強みなどを整理し具体的な事業のイメージを持っておきましょう。これによりセミナーの内容理解が深まり、相談時にも的確なアドバイスを得やすくなります。
手続きなどの把握
起業までには、会社設立や許認可申請などさまざまな手続きが伴います。事前にどのような手続きが必要になるのか、ある程度把握しておくことで、セミナーでの内容をより理解しやすくなるでしょう。また相談の際にも、具体的な手続きに関する疑問点をスムーズに質問できます。インターネットや書籍などで基本的な情報や知識を得ておくとよいでしょう。
疑問や不安な点、質問事項の洗い出し
事前に自分が抱えている疑問点や不安な点を明確にしておくことが重要です。資金調達、集客方法、法務関連など、具体的に質問したい内容をリストアップしておきましょう。これによりセミナー中に疑問点などを解決しながら、具体的なアドバイスを得ることができます。
まとめ
起業を考えたときに抱く疑問や不安を解消するための、起業セミナーの種類と選び方から無料で相談できる窓口、そして頼りになるサポート機関や専門家まで幅広くご紹介してきました。
起業セミナーは、具体的な知識やノウハウを効率的に習得する絶好の機会です。自身の学びたいことや現状、将来の業務の展開などを踏まえて最適なものを選びましょう。
また、費用を抑えながら安心して相談できる公的な支援機関や相談窓口は、スタートアップの時期に非常に心強い存在となります。
地方自治体や商工会議所・商工会、公益財団法人などを積極的に活用し、専門家のアドバイスを受けながら、思い描く事業を具体化していきましょう。
さらに、事業の成長段階に応じて中小機構や日本政策金融公庫といった公的機関、そして税理士や司法書士などの専門家のサポートも視野に入れることで、よりスムーズな事業運営が可能になります。
セミナーや相談に臨む前には、あなたの起業アイデアや計画を整理し、疑問点を明確にしておくことが大切です。ぜひ、本記事を参考にしながら学びを深めていってください。
セミナー後も各種手続きに不安が残る場合、「会社格安センター」を利用することは事業をスムーズに立ち上げる近道となります。
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地方自治体が開催する創業支援セミナーに参加すると、会社設立時の登録免許税の減免や融資の貸付利率の引き下げといった優遇を受けられる場合があります。ただし修了規定が厳しいため、最短での起業を目指すならぜひ「会社格安センター」をご利用ください。