会社設立のための費用

<会社設立にはどのくらいの費用を用意しておけばいいの?>

いざ会社設立をしようとした際、気になるのは費用をどれぐらい用意しておけばいいのかという点です。自分で手続きをするのと税理士にお願いするのではどれぐらい違うのでしょうか?会社設立にあたっての気になる費用の問題についてまとめました。

■自分で株式会社設立の手続きを行う場合
会社設立に際しては必ず用意しなければいけない書類がいくつかあり、個人で行うのは結構大変です。しかし、手間をいとわなければ自分で済ませることができないわけではありません。

定款とは会社の活動についての基本原則のことです。会社設立にあたっては必ず定款を作成して公証人役場で認証してもらわなければいけませんが、この時、定款に貼り付ける定款認証印紙代4万円がまず必要です。さらに、定款認証手数料5万円も納めなければいけません。法務局での登録免許税15万円とあわせて最低でも24万円は必要となります。

■税理士に株式会社設立の手続きを依頼する場合
会社設立は税理士に依頼することも可能です。ただし、設立登録手続きは、税理士は行うことはできず司法書士に依頼することになります。税理士、司法書士の両方に手数料を支払う必要があるため自分で手続きをするよりかなり高額になるのではないかと思われがちですが、実際、あまり金額は変わりません。

実は定款の認証は紙の定款の代わりに電子定款による認証手続きも可能で、この場合、印紙代4万円が不要になります。ただし、電子署名や専門のソフトウェアが必要であり、個人で行うにはかえってコストがかかります。定款認証手数料5万円、登録免許税15万円、税理士手数料3万円~5万円、司法書士手数料3万円~5万円の、合計26万円~30万円が相場といったところでしょう。

■合同会社を設立する場合
会社設立を目指す人の多くは株式会社という形態を考えているかもしれませんが、最近、合同会社という形態を選択する人も増えています。2006年5月に誕生した比較的新しいものですが、設立費用も株式会社より安いばかりか、利益分配も柔軟にできるなど、そのメリットは少なくありません。とくに少人数や親族での起業に向いているともいわれています。

合同会社設立の場合、公証役場に行く必要がなく、株式会社で5万円かかった定款認証手数料が不要なのが大きな特徴です。さらに登録免許税も6万円と株式会社の15万円の半額以下となります。定款印紙代4万円、登録免許税6万円の合計10万円が設立費用となり大変リーズナブルといえるのではないでしょうか。

株式会社の場合、公証役場での定款謄本の交付代として2,000円程度が必要ですが、合同会社の場合、それも不要です。公証役場に行く必要場ないので、合同会社の方が株式会社より手軽に安く設立できるのはいうまでもありません。

■その他に必要な費用
現在では、以上のような手続き上必要な費用、すなわち法定費用さえあれば、誰でも会社を設立することができるようになっています。株式会社設立は、かつては最低でも1,000万円の資本金が必要でしたが、今は資本金1円でも設立可能です。資本金1,000万円未満ならば消費税が最長2年間免除となる等の特典があるので、まずは1,000万円未満で会社設立をしてみてはいかがでしょうか。

また、会社設立にあたっては実印も必ず作成しなくてはいけません。これだけ電子化が進んでも、契約書等で実印を求められる機会は少なくないからです。会社の顔ともなる実印なので、ある程度クオリティの高いものを選択することをおすすめします。

■会社設立後の定款の変更
どのような会社でも設立後はたえず形を変えていくものです。例えば合同会社として設立した後、株式会社に組織変更する会社もあります。役員変更、本店移転、増資などがあれば定款の変更も必要となるでしょう。その度に司法書士に依頼していてはコストもバカになりません。自分で変更登記するにしても印紙代がかかりますし時間もかかります。

いかがでしたでしょうか。会社設立でどのような形態の会社を設立するのか、事務手続きは自分でするのか税理士・行政書士に依頼するのかによって、必要な費用は大きく異なります。また、紙の書類を作成するのか、電子申請をするのかによっても金額は違ってきます。しかし、最低でも6万円あれば会社設立できるというのは、昔と比較したら桁違いにお手頃になったことは間違いありません。誰にでも会社設立のチャンスがあるといっても過言ではないでしょう。起業を考えている人も、すでにフリーランスとして働いていて会社として受注をしたいと考えている人も、ぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

※会社設立時に、自分で電子申請をするとなるとソフトウェア代4万円、ICカードリーダー3,000円、住民基本台帳ICカード500円の合計5万円近くが必要となります。それらは設立時しか使わないでしょうし、電子申請するための設定は数時間かかり難しいので、自分で電子申請をするのは、非効率的だと思われます。