電子定款とは何なのか?

<電子定款って一体・・・何?>


 株式会社を設立する際には、事業内容などをまとめた定款を公証役場に提出して公証人に認証されることが必要です。その際、収入印紙代4万円がかかってしまいますが、これを省略できる電子定款という方法があることはご存じでしたか?気になる電子定款についてまとめました。



■定款とは
 「会社の憲法」と呼ばれることもある定款ですが、会社の目的・組織などの基本規則を記した定款は、会社を設立する際には必要になります。作成した定款を公証役場に提出して認証され、初めて会社としての第一歩を歩み始めることができるのです。

定款の内容は公証役場のサイトにテンプレートがありますし、ネット等で公開されている他の企業のものを参考にしてもいいでしょう。必要な項目の内容を熟考するだけでも大変ですが、それを具体的にどう形にするかも一つの焦点となります。

これまでは定款といえば当たり前のように紙で、4万円もの収入印紙を貼ることが義務付けられていました。ところが、電子定款の登場によってこの収入印紙代を節約できるようになったのですから見逃せません。

■電子定款を作成する流れ
 電子定款はまず文章作成ソフトで定款を作成することからスタートします。内容に関しては十分に検討しましょう。電子定款は一度申請してしまうと、再申請には5万円の申請料を再度支払わなくてはいけません。申請前に公証役場や法務省がチェックしてくれるため、誤字・脱字等がないかどうか確かめてもらいましょう。
定款が完成したら次はそれをPDF化する作業に入ります。文章を印刷する感覚でPDF化できるフリーソフトなどもありますが制約も多いため、できれば推奨されているAdobe Acrobatなどを利用することをお勧めします。

ここまでは比較的容易ですが、問題は次のPDFに電子署名を付与するという作業です。PDF化した電子定款に電子署名を付与するには、電子証明書を取得しなければいけません。もし「電子署名をする事」が「実印を捺印する事」だとしたら、電子証明書は印鑑証明書に相当します。電子署名に有効性を持たせるには電子証明書が必要というわけなのです。電子証明書の交付依頼書、個人番号カード、パスポートや運転免許証などの写真付きの身分証明書、交付手数料を用意して市区町村の交付窓口で取得するようにしてください。

電子証明書付きの個人番号カードを取得したら、ICカードリーダーライターで電子証明書を読み込んで保存します。その後、法務省サイトで無料配布されているPDF署名プラグインソフトを使用して電子証明書データを電子定款に埋め込んで、電子署名がやっと有効になるのです。

■公証役場に出向く必要がある
 電子定款を作成して公証役場にデータ送信したら、定款を認証してもうらい、その定款を受け取るために足を運ばなければいけない点にも注意が必要です。あらかじめ予約を取るのはもちろんのこと、CD-R等の記憶媒体、自分でプリントアウトした電子定款、発起人全員の印鑑証明、電子署名をしなかった発起人の委任状、身分証明書、印鑑、認証手数料5万円を忘れずに持って行くようにしてください。

電子定款というとインターネットで全てが完結するイメージを抱いている人も多いかもしれませんが、それは間違いです。認証された電子定款は必ず実際に公証役場に出向いて受け取らなくてはいけないのです。しかし、それは紙の定款でも同じですし、申請だけでもメールでできるというのは時間を有効活用したい人にとっては魅力的ともいえるでしょう。

ただし、一部の公証役場では電子定款をまだ取り扱っていません。今後、どこでもできるようになる方向に進んではいますが、定款を認証してもうらう公証役場が電子定款を取り扱っているかどうか、まず確認するようにしてください。

■設立代行業者に依頼するのもひとつの方法
 以上のように電子定款を自分で作成するには、少なくともAdobe Acrobatなどのソフト、ICカードリーダーライターが必要になります。せっかく印紙代4万円を節約できたとしても、電子定款を作成する環境にコストがかかってしまうこともあるのです。もっとも、今後、書類をどんどん電子化していく予定があるならば無駄にはならないでしょう。

問題はコストだけでなく時間です。市区町村窓口に電子証明書の発行を依頼しに行ったり、公証役場に認証が降りた電子定款を受け取りに行ったりしなければならない等、結構な手間がかかります。起業に向けて忙しい毎日を送っていると、そんな余裕はないということもあるでしょう。

そこでお勧めしたいのが設立代行業者です。自前でソフトやICカードリーダライターをそろえるよりも安くお願いできます。また、設立代行業者の中には会社設立時だけではなく、その後社会保険事務、給与計算、年末調整などを請け負ってくれるところもあります。クラウドサービスを活用してリーズナブルにサービスを提供している業者等もあるため、まずは気軽に無料相談などを利用してみてはいかがでしょうか。「電子定款はハードルが高い」と思っていた人でも「案外、簡単にできそうだ」と、きっとヒントが見つかるでしょう。スムーズに会社設立をしたいと考えている人にお勧めです。

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監修者情報
行政書士 井坂信彦

行政書士 井坂信彦
(行政書士登録番号10302729)

行政書士井坂事務所代表。