会社設立の手順

<手間がかかる会社設立は代行してもらおう!>

 会社設立にあたってはさまざまな事務手続きが必要です。もちろん個人で行うこともできますが、ただでさえ多忙な起業時に時間を割く余裕がない人も少なくないでしょう。そのようなときは代行サービスを利用するのもひとつの手です。大切な時間とコストを節約しながら、賢く会社設立代行サービスを活用する方法について紹介します。

■誰でも会社設立ができる時代の到来

かつては最低でも株式会社は1,000万円、有限会社は300万円の資本金がなければ会社を設立することはできませんでした。しかし、平成8年の新会社法によって最低資本金制度が撤廃され、現在では資本金が1円でも会社設立が可能となりました。

 しかし、本当に1円だけで会社が作れるかというとそれは違います。なぜならば、会社設立にあたっては登記費用などの諸経費、いわゆる法定費用が必要となってくるからです。法定費用として、株式会社なら20~30万円、合同会社なら6万円程度がかかりますが、どうしても登記にこれだけの費用が必要になります。

    ■株式会社登記の流れ

会社設立をする際には登記が必要になります。日本の法律にのっとって何らかの営利活動をしようとする組織は必ず登記をしなくてはいけないのです。株式会社の登記にあたっては会社の活動内容などをまとめた定款を公証役場に提出しなくてはいけません。公証人の認証を受けることで株式会社の定款は初めて意味のあるものになります。定款に使用する法人印、発起人の印鑑証明書等も用意しておく必要があります。

公証役場に定款を認証してもらう場合には、まず、電子メールやFAXなどで定款の事前チェックを依頼します。依頼方法は公証役場ごとに違うので、まず確認をしてから送付するようにしましょう。定款の書式、文言等に不備があり、それを指摘された場合には、効力のある書類の体裁を整えることができるまで何度も修正しなくてはいけません。

 いよいよ定款が完成したら、公証役場に足を運んで認証をしてもらいます。通常は定款、出資者全員の印鑑証明書1通ずつ、収入印紙4万円、公証人の認証料5万円、定款の写しである定款謄本交付手数料約2,000円が必要です。用意するものが多いうえに、あらかじめ公証役場と認証日時を予約しておかなければいけないなど、株式会社の登記というのは、忙しい毎日を過ごしている人にとっては、なかなか大変なものです。

 最近では紙の定款の代わりに、PDFによる電子定款での認証が増えてきています。この場合、収入印紙代4万円を節約できますが、電子定款を作成するためのソフトウェアなどを購入するのに同じく4万円くらいの費用がかかりますし、ソフトをインストールする手間もかかるので、注意しましょう。

    ■設立代行サービスを利用するのもおすすめ

以上のように会社設立にあたっての手続きというのは非常に煩雑です。時間を節約したいならば代行サービスを利用するのもひとつの方法といえるでしょう。実際、リーズナブルな業者を選べば、自分でするよりもはるかに安く、早く電子定款を作成してもらえます。

 会社設立の代行サービスを行っているのはおもに行政書士、税理士、司法書士などになります。しかし、いずれも多岐にわたる仕事をしていることが特徴の職業なため、必ずしも会社設立に詳しいとも限りません。会社設立代行サービスを専門としている業者から、このジャンルに強い専門家を紹介してもらうというのが賢い方法といえるでしょう。

    ■設立代行サービス業者を選ぶポイント

会社設立代行サービスというのは「手離れがいい仕事」ともいわれています。定款を作成して登記をすませてしまえばそれで一旦終了ではあります。

 しかし、会社というのは設立後こそが大変なものです。新会社を存続させていくのはもちろん、設立後移転したり出資者が変わったりなどで、定款を変更する必要が生じることも珍しくありません。登記完了後のアフターフォローもしっかりとしているような代行サービス業者を選ぶようにしたいところです。

 特に注意したいのが、定款登記は無料をうたい、設立後の顧問契約を結ぶ形にはなっているものの、実際は何のコンサルティングもしないような代行業者です。定款登記とアフターフォローは別物を考えて、それぞれコストに見合うサービスを提供しているかチェックするようにしましょう。

 だいたいの代行サービス業者が無料相談をしているので、気軽に相談してみるのもいいでしょう。会社設立の際にはいろいろな専門知識も必要になってくるものですが、まずは「定款とは何か」といったところから分かりやすく説明してくれるのかどうかも重要です。

    ■設立代行サービス業者を利用する際の注意点

優れた代行サービス業者は定款の体裁を完璧に整えてくれるでしょう。しかし、その内容に関しては、あくまでも自分で考えなくてはいけないという点に注意してください。これから、どのような企業活動をしていきたいのか、定款作りに取りかかる前にしっかりとまとめておく必要があります。

 定款は会社のアイデンティティといっても過言ではありません。定款作りの中で改めて事業計画を見直すこともできるでしょう。起業前には何かと気ぜわしいものですが、決しておろそかにはできない部分です。ぜひ、十分に練り上げてみてください。

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監修者情報
行政書士 井坂信彦

行政書士 井坂信彦
(行政書士登録番号10302729)

行政書士井坂事務所代表。